方向音痴がつくる空白の時間

今日は話題の映画を観に行こうとバイクで出かけたものの、生来のツイてなさと方向音痴が最大限発揮され、上映開始時間ぴったりに目指していた駐輪場にやっとこさ着き、でもそこから映画館までは徒歩で10分はある距離だったため、諦めてすごすごと家へ帰ってきた。帰ってくるにも散々迷った。

順調にいけば映画を見ていたのだけど、方向音痴なせいでぐるぐる不安なバイク時間ばかりを消費したために、今は映画分時間が空いてしまった。のでブログを書いている。

 

先週はmetamorphoseというイベントへ行ってきた。行く予定なく、突発的に誘われて参加。ふたつのステージで色んなアーティストがライブをする。

なんといっても flaming lips のライブが最高だった。

「happy」という単語には根明でうさんくさくてリア充臭たっぷりなイメージを抱いているので、この言葉いまいち好きでないんだけど、flaming lips のライブは

「あ〜〜happyってこれや〜!これのことなんや〜!最高!」って素直に思った。

あんなに楽しくて嬉しくて気持ちのよい時間はない。今まで見たライブで一番楽しかった。心の底から幸福感を感じられて、いい空間だった。

数々のあほな演出(ライブが始まる前から色とりどりの花吹雪のヒラヒラがなぜか何度かにわたって会場にシュポっと放たれる/大きな丸状のスクリーンが運ばれ、その中で踊り続ける裸の女の映像。そして女はM字開脚。Mの真ん中部分は楕円に明滅。そこへアップ。観客笑い。と、その楕円部分かぽっと扉が開いて…メンバーが一人ずつ出てくる!!!歓声。ご出産である/大きなボールが観客の上部を跳ねて、それはまあ普通のライブでもあることなんだけど、なぜか透明の大きなボールに、ウェインおじさん自らも入って観客の上へごろごろ/ステージの両脇には小人みたいな格好した男や女の賑やかし隊/コントのようなでっかい手を装着しだすウェインおじさん。なんだありゃー!と思っていると、大きな両手からは緑色のレーザー光線が何本も出る、そしてウェインおじさんは天上からぶら下がっているミラーボールに当てて、会場に乱反射。それから観客へ向けてビーム。当ててもらおうと、おじさんの両手と同じポーズで腕を上げ続けた)にたくさん笑って、ずっと幸せな気分だった。

マイクにはカメラが取り付けられてて、ウェインおじさんのど至近距離のひげづらが、ときどきスクリーンに荒い画像で映し出される。

ウェインおじさんがニコッと笑うのを拝められれば、一緒にもっと幸せになった。

ライブ中、あまりの多幸感に泣きそうだった。

 

あと、印象的だったこと。これはまったく幸せな感覚ではないのだけど。

orbitalのライブ、VJがすごくおもしろくて、音と映像がセットで合わさっていると相乗効果で本当に昂揚するな、と踊っていた。

ライブ中って、お酒があってもなくても空間のなかで音と光に酔ってどんどん何も考えなくなって体が自然に揺れるじゃない。で映像もちゃんと音と組み合わさってたから、もっと意識がなくなって陶酔した感じだった。

その途中、映像の中に"扇型の黒3つと中心に丸"の画が表れた。本当は違ったのかもしれない。でも、黄色と黒の、核の警告標識がすぐさま想起されて、その瞬間、冷や水をばっとかけられたようだった。

暗闇のなかで酔っぱらって音と光だけにさっきまで身を任せていたのに、一瞬で意識が体のなかへ戻って、現実に帰ってきた。

どんなに楽しく、快楽に意識を全部預けてしまっても、私たちのいる世界は、そうだこうだった、3月11日以前とは違う世界にいるのだ。そう夢から醒めた気分になった。

そして、orbital が日本人アーティストならまた違った感覚を持ったのかもしれないが、彼らは海外の人達で、その事実もまた、冷たく私たちに突きつけられた現実を感じさせて、さーっと頭の中が冷えていくようだった。負い目を感じた。

 

非日常に頭をからっぽにしてみても、今ではいつだってあの日以来、かけ離れてしまった日常の中に私たちは置かれている。

 

flaming lips のパフォーマンスがあったのでその後幸せな気分で最後は会場を後にできたけど、一瞬にして現実に引き戻されたあの感覚は恐ろしかった。