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ことほぎ俳句会!東京マッハ

先週末、『東京マッハ』という俳句のイベントに行ってきました。

4人+ゲスト1人の5人が事前に6句ずつ俳句をつくり、当日作者を伏せてそれぞれが好きな句を6句(並選)、いっとう好きな句をひとつ(特選)、どうだろう、ひとこと言ってやりたいって句ひとつ(逆選)を選んで発表する句会のイベント。観客もイベント開始前に同じように選んで投票できる。

 

ちょっぴり勇気を出して初めて行ってみたんだけど、とっても楽しかった!

「五・七・五」のたった17音だけでつくられる俳句って世界に触れて、お酒も飲んでいないのに帰り道では酔っぱらったように上機嫌、それ以上に昂奮していた。

「ことばで生きていくことはできるんだ」って実感に、幸せに包まれていた。

 

 

今回で10回目を迎えたらしい『東京マッハ vol.10』では、観客150人を超える人が新宿歌舞伎町のキャバレー跡(!)に集まって句会を見た。普通「俳句」と聞いて思い浮かべるようなかたっ苦しいものとは違って、笑いの絶えない、でもやっぱりことばって……いいな!と熱く思ったイベントだった。

 

俳句の作者を互いに知らないまま、選んだ句についてそれぞれが述べるのを会場で聞く。

自分だけでは一度二度読んで、すっと通り過ぎていた俳句も、この言葉の背景にはこんな切り取りがあって、視点の流れがあって、こんな物語があるんじゃないか、ってしゃべっているのを聞いているうちに、たったの17音そこらのことばの羅列がとんでもなく輝いて聞こえてくるのだ。

もちろん、見た瞬間にいいなあって思う俳句もある。物語やその単語の必要性はわからないなりに、どうしても惹かれることばの並びとか。

たとえば、私が特選にした俳句は、

標準にもボンタンにも吹けよ薫風

         (作:長嶋 有)

だったんだけど、これは読んでしばらく『ボンタン』って単語を勝手に「ボンタンアメ」に変換してたんだよね。あのオブラートに包まれた(比喩ではない)甘い、昔ながらのボンタンアメ。濃紺の地とボンタンの黄色の絵が印象的なパッケージの駄菓子、ボンタンアメ

で、これに対応する「標準」って単語は意味がわからないけど、”ボンタンアメ”と”標準”と”薫風”って並びがなんかいいなあってしばらく思っていた。

少ししてから、あれ!ボンタンアメではない!ボンタンってあの、幅広の昔の不良学生が履くズボンか!つまり標準とは、手を加えていない普通の学生服のことか!って納得がいった。意味が通ってますます好きになった。

それでも、ファーストインプレッションのボンタンアメのイメージは残っていて、濃紺と黄色、柑橘類の爽やかな香り、やさしい甘み、それらを内包したまま、俳句が染み渡った。標準服を着る子も、不良も、学校へ向かう道、土手に渡るほのかなボンタンアメ味の春の風って感じ。

 

「五・七・五」の17音のことばの並びに、風景がふくらんで、物語が動いて、においが漂って、カメラは移動して、時間は流れる。

 

また、詠む人によっても解釈が違って、それを聞いているうちに17音にもっと奥行きが感じられるようになる。

こないだちょうど読んだ短歌の本のなかに、「歌は祝詞的一面を持っている」って書いてあったんだけど、今回句会というものを初めて見てみて、それがわかったような気がする。

俳句を読んだ人が、その人なりにその俳句をほぐして、解釈をしゃべってくれる。その、個々が思う俳句のほぐし方を聞いているうち、俳句として切り取られたことば一音一音を、奇跡みたいに思うような、祝いたくなるような…。一人一人にほぐされることで、俳句が言祝ぎに思えてくるのだ。ほぐほぐほぎほぎ。

 

雲の切れ目から射し込む光の筋のことを、”天使の梯子”と呼ぶそうだけど、俳句や短歌って、あの光景のイメージがある。ことばによって、些細な一瞬や事象を、切り取って祝うような。

 

東京マッハに参加してみて、そういう実感が強くあって、「ことばで生きていくことはできる」って昂奮があったんだよね。ことばを持って、松明のようにして、暗い道も照らすことができる、ことばで進めるって思った。

 

 

東京マッハのレギュラー勢の、千野帽子さん、米光一成さん、長嶋有さん、堀本裕樹さんの4人は気心の知れた会話がとても楽しく、何度も大笑いした。ゲストの西加奈子さんは、めっっちゃくちゃキュートな人柄で、魅力的な人だった。かつ人柄だけじゃなく見た目もめっちゃんこキュート!

次回も東京マッハには是非参加したい!

 

ちなみに私が今回選んだ並選6句

停学の太郎の屋根に花ふりつむ (千野さん作)

 

花冷や言葉のやうな貝拾ふ  (堀本さん作)

 

浮かれ猫床を磨くと妻が吐く  (西さん作)

 

ラー油垂らす程の決意や春暑し  (長嶋さん作)

 

おい、小池! 花見するから来い早く  (千野さん作)

 

襟足の長き父子ゐて磯遊び  (堀本さん作)

 

 特選は先の

標準にもボンタンにも吹けよ薫風  (長嶋さん作) 

 

結構きれいに作者さんばらけて選んでいる。

イベント開始直前に会場に着いて選ぶ時間が足りなかったので逆選はしていない。 

なお、東京マッハではいつもそのたびごとに裏テーマふたつを設けて俳句づくりをしているそうな。テーマを聞いて、なるほどと思った句もあればほんのり…?と思った句もあったけれど、テーマわかるでしょうか。

俳句や短歌をもっと知りたいなあ。

 

 

==== 追記 ===========================================

2016年3月の東京マッハのメモ ↓

fill-in-feel-in-blank.hatenablog.com