取り残された朝

学生時代の長期休みは、毎日毎日夜更かしして、朝日がうっすら気配を見せだした頃眠ることが多かった。

なんとなく人恋しくて、聴くでもなく小さな音で夜中ラジオをつけっぱなしにしているんだけど、日曜なんかは他の日と違ってラジオは朝までやってくれなくて、夜の途中でみんな放送を終えてしまう(今はどうだかわからないけど)。

その日の放送を終えることを告げる、周波数とラジオ局名から始まる淡々とした声が、たまらなく嫌だった。

「ああそんな時間なのか」と思い、今日も無為に過ごして一日の終わりを先延ばしにしている、堕落しきった自分の生活を実感する。

そのアナウンスのあとは、耳障りのいい音楽が少しの間流れて、それからあとはノイズが垂れ流される。

それが聴きたくなくて、周波数を機械的に言う声が聴こえたら、すぐに他のチャンネルに変えていた。

 

でもそれを繰り返しているうちに、人が話しているような番組はなくなってしまう。しようがないからクラシックを流し続けているチャンネルに合わせるんだけど、それも最後には周波数を告げだしてしまう。

そうしてどこの局も放送を終えてしまい、何も信号を受信していないノイズだけがコンポから流れていると、本当に、私は世界から取り残されてしまったようで、心細かった。だめだなあ、と思った。

爽やかなはずの鳥のさえずりがどうしようもなく呪わしく、情けなさと後悔を抱えてカーテンを透けさせる朝日を感じて、眠った。