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瀬戸内の島へ行ってきました ③犬島編

前回前々回の記事に続く、瀬戸内の島の旅行の覚え書き。もうすでに忘れかけていっている、残念な私の記憶力。蒸発した記憶は言葉にできず写真多め。

 

豊島から20分ほどフェリーに乗れば、渋い黒色のシックな建物が、犬島の港の入り口に控えている。フェリーの運行本数自体が少ないので、瀬戸内の島を巡ってる人たちと同じ船に乗り合わせたり、だいたい同じペースで回る人を島の中で何度も見かけたりする。

犬島は採石と銅の精錬が盛んな島だったそうで、精錬所の跡地に残るレンガの煙突がシンボル的にあったり、石が島のいたるところにありました。石も廃墟っぽい雰囲気のものも大好物な私としては、今回の旅行で密かにめちゃくちゃ期待していた島でした。

小さい島なんだけど、期待通り雰囲気たっぷりの島でとても満足できました。

 

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精錬所の跡地を美術館にした犬島精錬所美術館は、港からすぐのところにあるので、フェリーから降りた人たちはだいたいそっちに流れていく。混みそうなので、先に島を回ることに。

犬島も他の島と同じく「家プロジェクト」の作品がいくつかある。犬島の場合は元あった民家そのものを使うっていうより、民家のあった場所を利用して新しい家だったり作品があるような感じだったかな? 普通の集落の古い家々のなかに馴染んで、作品や家があるのは変わらず。

 

島にもとからある家も、焼き杉?の黒い木の壁でできた家が多く、渋くてかっこいい。若い子どもがもう島にはいなくって、小学校も中学校も廃校になっているらしく、小さい島では全然人に会わない。ほんとに廃墟!って感じの、ぼろぼろに崩れて、割れて曇ったガラスの向こうに植物が生い茂ってる家もたくさんあった。

島の産業の名残りか、大きな石がででん、と島のあちこちに無造作にある。成形してない、切っただけって感じの石でできたテーブルや椅子が、ほんとたくさんの家の庭などに無造作にある。あと、石臼もよくあった。

 

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無骨!切り出した石のテーブル&椅子ら

こんなテーブルに招かれておじいちゃんとお話もさせてもらった(西武警察が島にロケに来た際の石原軍団の生写真を見せてもらった!)            

 

f:id:suttoko_ondo:20140927140557j:plain 軒先に並ぶ植物たち。かわいい

 

f:id:suttoko_ondo:20140927140923j:plain 錆びた何かの部品ら。家の敷地に並んでた

 

今も一箇所だけ採石の操業をしてる所があるみたい。昔は15とか40も工場があったらしい(話を聞く人によって数が全然違う…笑)。石は大坂城の建築に使われたとか、石を切り出してた頃は爆破の音がぼかんぼかんしてたとか、島のおじいちゃんらに聞いた。あんなに小さな島で、たくさんの人が働いてたっていうのは不思議な感じだ。

 

f:id:suttoko_ondo:20140927121750j:plain 郵便屋さんも島の人と休憩

 

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瀬戸内の海は穏やかなんだねえ。台風がちょうど来ていた頃だったから心配してたけど、岡山のあたりは山脈に守られてて全然台風の被害がないそう。台風が来れば吹っ飛んじゃいそうなあばら屋がちょこちょこ長年の月日を超えて残ってるあの感じは、確かにそうなんだろうと納得。

  

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屋外に設置された家プロジェクトの作品。アクリルガラスの中にレンズがたくさん連なっていて、多様な風景を映す。

 

瀬戸内芸術祭の作品ではないようでパンフレットなどには載ってなかったけど、島の人に教えてもらって大きな犬の作品も観ました。島のはしっこに、白い家のなかからはみ出るわんこ。

f:id:suttoko_ondo:20140927113736j:plain レンガ?の小さなタイルが集まってできてる。

犬島の島の名前の由来は、犬に似た形の岩があるからだそうで。残念ながらその岩は見られなかったけど、リードも何もなく自由にお散歩してる人懐っこいわんちゃんには出会えました。

 

 

ひととおり家プロジェクトの作品や島をぐるりと巡って精錬所美術館に行くと、今は空いてますよ〜って案内のお姉さんも言ってました。

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美術館の外は石の迷路のよう。すぐ海。そして定番の石のテーブル&椅子。

 

美術館のなか、すぐ通される部屋は真っ暗で、ゴーッという音と、すぐ後ろには赤く燃える星のような映像が。向かいには遠く、小さく切り取られたように青く見える出口らしきもの。

細い道に沿って歩くと何度も曲がるんだけど、設置された鏡によって、後方にしてきた赤い星と前方の青い四角はずっと変わらず一直線に繋がっているように見える。これが不思議な感覚でおもしろい。

どんどん歩いていくうちに、青が近づいてくる。出口だと思っていたその四角い青は、鏡をリレーして映った空の青だった。

 

それを抜けると、三島由紀夫をテーマにした作品がいくつか。静かに沈み込むようなものも、鬼気迫る雰囲気のものも。

最後の部屋は自然のエネルギーをうまく取り込んであたたかい空気になっているそうで、そこに直方体に組まれた木と、三島の文章が一字ずつ薄い金色の金属に連なって吊るされている。すぐ近くに海の見える場所で外の空気が入るようになってるから、風が吹くと金属が触れ合って高い軽やかな音がする。でもその三島の文自体は当時の日本を憂えたもの。近代化を押し進めた跡地としての精錬所で、三島の言葉が風に揺れて軽やかな音を立てる。

 

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美術館の周りも散策できるようになってて、緑に覆われた石とレンガの遺構の風景が楽しめます。ある種の人々の心をくすぐってやまない光景だと思う。私はくすぐられまくってにやにやしてました。

ラピュタっぽい風景、と言われることもあるそうですが、私がラピュタを一番感じたのは右の写真の、草に覆われた地面と、そこに咲く小さい花、くぼみにごろごろと残った石、という場所なんだけど、これが伝わるかはわからない…笑

パズーとシータが暴風を抜けてラピュタに着いたばっかりの、鳥の巣を助ける巨神兵と会うあそこらへんです!

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島はほんとうにゆっくり歩いても1時間半くらいで一周できちゃう感じ。私はフェリーの時間との兼ね合いでゆ〜っくり一日ぶらぶらしたけれど。

島の中心にちょこんと見える神社にお参りしたり、家々の様子をじっくり楽しんだり、島の端っこにあるキャンプ場で海をぼんやり眺めたり。

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アクティブにどんどん予定を詰め込んじゃいたい!って人には物足りないかもしれないけど、ゆったり、島の雰囲気やシブい遺構を味わいたい人にはとてもいいと思います。

島の人たちも観光客を受け入れてくれてる感じであたたかかったです。

 

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